銅価格高騰で加速!アルミバスバーへ代替するメリット・デメリットと注意点を解説

アルミニウムのバスバーサンプル画像。

近年、銅価格の歴史的な高騰を背景に、配電盤や制御盤、バッテリー周辺で使用される「バスバー(ブスバー)」の素材を、銅からアルミニウムへ代替する動きが急速に進んでいます。
アルミバスバーへの切り替えは、単なる材料コストの削減にとどまらず、製品の劇的な軽量化という大きなメリットをもたらします。一方で、導電性や強度の違いから、設計時には特有の注意点も存在します。
本記事では、銅とアルミの素材特性を比較し、アルミバスバーへ代替するメリットやデメリット、注意点とともに採用が進む業界の具体例について詳しく解説します。アルミバスバーの板金試作や加工依頼をご検討中の設計・開発担当者様は、ぜひ参考にしてください。

目次

銅とアルミの素材比較:バスバー特性の違い

バスバーの主流である銅(タフピッチ銅など)と、代替素材であるアルミニウム(純アルミ系A1050など)の物理的特性を比較します。

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比較項目銅(Cu)アルミニウム(Al)アルミ代替時の特徴
比重(g/cm³)8.92.7銅の約1/3の軽さ
導電率(%IACS) ※1100約60銅の約6割
熱伝導率(W/m・K)390230銅の約6割
引張強さ(N/mm²)約250約75銅より柔らかく変形しやすい
材料価格高騰・変動大
2,290円/kg ※2
比較的安価・安定
690円/kg ※3
大幅なコストダウンが見込める
表:一般的なタフピッチ銅(C1100)と純アルミニウム(A1050)の比較
※1 導電率は、20℃基準の代表値 / ※2 2026年7月15日現在の電気銅建値 ※3 2026年7月15日現在のアルミ地金(NSP)

バスバーと銅バスバーについて、詳しく解説しています。下記記事もご参照ください。

アルミバスバーへ代替するメリット

銅からアルミへ変更することで、主に以下の2つの強力なメリットが得られます。

  • 圧倒的な軽量化(約65%減)
    アルミの比重は銅の約3分の1です。同じ体積であれば重量を劇的に軽くすることができ、製品全体の軽量化に直結します。
  • 材料コストの削減と安定化
    銅相場が高値で乱高下する中、アルミは比較的に価格が安定しており、かつ安価です。導電率を補うためにアルミの断面積を増やしたとしても、トータルでの材料コストは大幅に削減できるケースがほとんどです。

アルミバスバーのデメリットと設計上の注意点

アルミバスバーの採用には、素材特性を踏まえた以下の対策が不可欠です。

  • 体積(断面積)の増加が必要:
    アルミの導電率は銅の約60%です。銅製バスバーと同じ電流(許容電流)を流すためには、アルミバスバーの断面積を銅の約1.5倍〜1.6倍にする必要があります。そのため、実装スペースに余裕がないレイアウトには注意が必要です。
  • 接触抵抗と電食への対策(表面処理):
    アルミは空気中で強固な酸化皮膜を形成するため、そのままでは接触抵抗が高くなります。また、銅端子など異種金属と直接接続すると「電食(ガルバニック腐食)」が発生しやすくなります。接続部にはニッケルメッキやスズメッキなどの表面処理を施すことが推奨されます。
  • クリープ現象と締結部の緩み:
    アルミは銅に比べて柔らかいため、ボルトで強く締結し続けると時間経過とともに変形する「クリープ現象」が起こり、ネジの緩みによる発熱リスクが生じます。皿ばね座金の併用や、適切なトルク管理が求められます。

アルミバスバーの採用が進む業界・製品と、向かない製品

アルミへの代替が適している業界・具体的な製品

スペースに一定の余裕があり、かつ「軽量化」や「大電流対応でのコスト削減」が至上命題となる分野で採用が急拡大しています。

自動車・モビリティ業界(EV・HEV)

  • リチウムイオンバッテリーパック内の接続モジュール
  • PCU(パワーコントロールユニット)周辺の配線
  • 車両の航続距離を伸ばすための極限の軽量化ニーズと合致しています

再生可能エネルギー・インフラ関連

  • 太陽光発電用の大型パワーコンディショナ(PCS)
  • 風力発電用機器、大型蓄電システム
  • 機器自体が大型でスペースに余裕があり、長いバスバーを使用するためコストメリットが最大化されます

アルミへの代替が向かない具体的な製品

「1.5倍の断面積」を確保できない、極小スペースの高密度設計が求められる製品群には不向きです。

高密度な小型分電盤・制御盤

筐体サイズが厳密に規格化されており、バスバーの幅や厚みをこれ以上増やせない環境

スマートフォン・小型モバイル機器の内部回路

ミリ単位・ミクロン単位のスペース削減が求められるため、導電効率が最高の銅が優位です。

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